携帯電話の通話履歴に基づいて超過勤務時間を認定した事例(大阪高裁平成20年10月30日判決・労働判例977号42頁)
判例地方自治誌に連載している労災関係の判例紹介の原稿を書くため調べていたら,面白い判決を見つけた。
事案は,国立病院の脳神経外科に勤務する看護師がくも膜下出血を発症させて死亡したという事案について,過重労働による公務災害であるか否かが争われたというものだ。
脳神経外科勤務というだけでかなりハードな仕事だろうということは容易に推測できると思うが,細かいところでは超過勤務の総時間がどれくらいだったのかも事実認定上重要な事項の一つとなっていた。
大阪高裁は,死亡した看護師が日常的に使用していた携帯電話の利用履歴に基づき,勤務時間を推定し,超過勤務の総時間を算定している。
携帯電話の通話履歴というと通常は犯罪捜査のための証拠として用いられることが多いかもしれないが,民事訴訟や行政訴訟においても証拠として機能することがあるということを示すとともに,その証拠としての評価の手法を理解する上でも貴重な事例の一つかもしれない。
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