総務省:使用済携帯電話回収促進キャンペーン
総務省のサイトで,下記のお知らせが出ていた。
使用済携帯電話回収促進キャンペーンについて
総務省:平成21年5月22日
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02kiban05_000016.html
昨年9月のリーマンショック以降,レアメタルの市況は下がってしまっていたが,潜在的には需要のほうが供給を上回るという基本的な状況に変化はないと考えてよい。したがって,死蔵されているレアメタルを再利用することはよいことだと思う。
ただ,若干問題もないわけではない。
まず,回収するのはよいのだが,回収した携帯電話等に含まれているレアメタルの所有権は本来その携帯電話の所有者の所有権に属していたはずのものなので,そのレアメタルの価格分を携帯電話会社等が利得することは法的に許されることではないということだ(不当利得)。したがって,例えば携帯電話会社が回収主体である場合には,その価格相当額を携帯電話使用料から差し引くなどの措置によって利得がないようにすべきだろうと思う。
次に,携帯電話を完全に回収して資源化した場合,何十年か後には,過去の特定の時点でとのような電子機器が使われていたのかを実物によって知ることができなくなってしまうということだ。つまり,過去の文化を知るための資料が失われてしまう。したがって,国は,各携帯電話会社に対し,1機種について少なくとも1個のサンプルを強制的に提供させ,しかるべき博物館等に資料として保存するような努力をすべきだろうと思う。それでなくても電子的な文物とりわけ電子データは消滅してしまいやすく,将来のある時点で20世紀~21世紀ころの文化を知ろうとしても何も資料が残されていないといった状況が生じる恐れがある。未来の人類がこの時代を眺め返したとき,「文化の空白」の時代として認識するしかないような事態が発生する可能性が高いのだ。このようなコレクションを個人で実行することも不可能ではないが,保存・管理(及びそれにまつわりコストの負担)という点を考えると,国が行うしかない仕事ではないかと思う。
| 固定リンク
コメント