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2009年5月20日 (水曜日)

クラウドコンピューティングの適法要件

昨年来,コラウドコンピューティングについて徹底的に研究を重ねてきたが,結論として,ありとあらゆる面で違法である可能性が濃厚になってきた。いずれそんなに遠くない将来,大きな問題が生じたときには私の意見が正しいと証明されることになるだろうという絶対的な自信がある。

とはいえ,世界的な規模でクラウドコンピューティングの利用が推進されており,日本国の総務省も「データセンター」という名を用いてはいるが,クラウドコンピューティングを積極的に推進する政策を採用している。一応国の政策であり,それに異論を唱えてみても押しつぶされてしまうのに決まっているので,少しだけ冷静になってクラウドコンピューティングの適法要件というものを考えてみた。

あまりにも多くの事項を含むので,このブログで披露するのは適切ではないと思うが,一つだけ紹介したい。それは,「利益相反の回避」だ。

一口にクラウドコンピューティングやSaas等といっても,単純にディスクを貸しているレベルのものから実質的なデータ内容に関与するサービスの提供を含むものもあり,究極的には企業経営の最も大事なところを全部アウトソースするのに等しい馬鹿げたものまで存在している。これらの中で,実質的なデータ内容(個人情報,企業秘密,情報セキュリティを含む。)に関与するという以上のレベルで顧客のデータに関与するタイプのサービスでは,当然,利益相反が生じ得る(←この場合の「利益相反」は,現実には現行民法の定める「自己契約」や「双方代理」とは異なる。現行民法は代理ではないアウトソースの場合における双方 代理類似行為については何も規定しておらず,かなり時代遅れのものとなっている。しかし,この例に示したような事態は,実質的違法という観点からは,「利 益相反」として違法行為であることに何らの疑いもない。)。

例えば,A社とB社とが存在し,A社とB社は,ある分野において敵対関係にある競合企業であると仮定する。そして,A社がX社のクラウドコンピューティングサービスを利用しており,B社もまた利用していると仮定する。この場合,提供されるサービスの内容いかんによっては,当然に利益相反が生じ得る。例えば,A社が秘密に開発中の新製品の開発データをX社のシステム担当者が情報セキュリティの必要上ディスクを管理中にたまたま知ってしまったという事例を想定してみると,競合会社であるB社のためにも仕事をしているX社としては,知らないうちにA社を裏切る行為をしていることになる。単に「知った」というだけでそのことが発生する。知ってはらないのだ。この場合,守秘義務があり,それが遵守されていたとしても,「知った」という事実だけで利益相反は発生する。多数の企業や個人を顧客にもつ大規模なクラウドコンピューティングでは,このような事態の発生を避けることができない(←自社の内部だけでクラウドコンピューティングとシンックライアントPCを利用するのとは状況が全く異なる。)。

この設例のような状況において,違法となることを避けるためには,A社とB社とX社の3者の間で,合意または合意と同等の「何か」が存在することを要する。ところが,X社の立場にたってみると,A社とB社とが敵対関係にあることを事前に知ることができないのが普通であるので,X社から事前に合意をとりつけるように行動することは難しい。

そこで,次善の策として,X社が,その顧客すべてのリストと提供しているサービスのリストを常に事前公開するという方法が考えられる。例えば,X社がA社にサービスを提供しており,そのサービスの内容が何であるのかという情報が公開されていれば,それを事前に検索・検討することによって,B社としては「X社のサービスを利用することは危険だ」ということに気付き,契約締結をしないで済むことになるだろう。そうすれば,事前に利益相反が生ずる原因を事前に失わせることができることになる。

要するに,顧客とその顧客に対して提供しているサービス(役務)の詳細に関する情報を事前に公開していることが適用要件の要だということになる。

そのような見地で,現実に提供されているクラウドコンピューティングの実情についてフィールドワーク的に調査検討を実施してみた。結論として,すべてのサービス提供者において適法要件が全く満たされていないだけでなく,現実に利益相反と思われる事例を幾つか発見することができた。

各社とも,もし「自浄機能のある企業である」と自負するのであれば,自社の顧客についてすべて詳密な調査と再検討を実施すべきだろう。そして,もし利益相反が発生しそうな顧客が存在する場合には,双方に対して公平かつ詳細な説明を尽くした上で,3者間の合意を形成すべきであるし,合意が形成できない場合には,当該クラウド・コンピューティングのサービスから抜ける顧客に対して相当の損害賠償金を支払うことによって,逐次解決すべきだろうと考える。

なお,このブログでは,大規模なクラウドコンピューティングプロバイダが経営破綻すると,その顧客である膨大な数の企業も同時に倒産してしまうという危険性を指摘してきたし,それに伴って,個人情報が散逸することになるけれども現行の個人情報保護法では何も対処できないという問題があることを指摘してきた。これらの点に関し,現時点において,私の意見に変更点はない。

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