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2009年3月11日 (水曜日)

IPA:自動車と情報家電の組込みシステムのセキュリティに関する調査報告書

IPAのサイトで,下記の報告書が公開されている。

 自動車と情報家電の組込みシステムのセキュリティに関する調査報告書
 IPA: 2009年3月10日
 http://www.ipa.go.jp/security/fy20/reports/embedded/index.html

現代の自動車の多くは,コンピュータのかたまりのようなもので,しかも,リモートで動作する装置(ETC,カーナビなど)が満載という状態になっている。

しかし,コンピュータ関連の技術の発展は著しく,それと同時に陳腐化も著しい。したがって,新車が発売されて何年かたつと,コンピュータ関連の部品が調達できないという事態が発生し得ることになる。1個のチップ(及びそれに組み込まれているソフトウェア)だけに問題があり,他の部品は完全に大丈夫だとしても,その自動車を走らせることができないような事態が発生し得るのだ。だから,現代型の電子化された自動車は,クラシックカーとして何十年後でも走っているということが基本的にはあり得ない。

もっと素朴なレベルで,例えば,パワーウインドウは非常に便利な仕組みではあるのだけれど,川に自動車が転落してしまったときなどには,電源がショートしてしまうことから,窓もドアも開けることができなくなってしまい,むざむざ溺死してしまうというようなことがあり得る。

更に,若干SF的な想像をめぐらせてみると,リモートで管理されるロボットのような自動車が主流になってしまうと,リモートで自動車の頭脳をハッキングし,高速道路で恐るべき悲惨な大事故を発生させてしまうようなテロも実現可能となってしまうだろう。

もしかすると,今後の自動車産業は,可能な限り電子化とは反対の方向で製品開発をしたほうが賢明なのかもしれない。

手動で開閉する窓のどこが悪いのだろうか。手動で角度を調整するミラーのどこが悪いのだろうか。機械式のアナログメータのどこが悪いのだろうか。ドライバーの腕と知性とセンスと経験によって大きく左右される古風なドライビングを楽しむことがどうして悪いのだろうか。

私が若くないせいもあるのかもしれないけれど,あまりに自動化された世界は,どうも性に合わない。

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コメント

キメイラさん こんにちは。

NHKの人形劇「空中都市OO8」は,記憶がないです。たぶん,ぜんぜん観なかったと思います。記憶が鮮明なのは,「ブーフーウー」と「チロリン村とくるみの木」と「ひょっこりひょうたん島」ですね。(笑)

ユビキタスの技術は,基本的に,端末側では大量にあちこちに分布しているように見えても,それらを同期をとりながら破綻なく管理するための中枢コンピュータシステムのほうでは極度に集中化し一元化しなければそもそもユビキタスシステムとして機能しないため,ある意味では攻撃の対象を一箇所だけに絞ることが可能という意味で非常に脆弱なシステムであるとも言えるだろうと思います。この中枢コンピュータがやられてしまうと,端末側がすべて健全であったとしても,全く機能しなくなるか,または,ひどい大混乱が発生してしまいます。

というわけで,直ちにユビキタスをやめましょう。「ユビキタス」は,それ自体としてもともとキリスト教で用いられる宗教用語なので,とりわけ政府がこの用語を用いることは,日本国憲法の定める宗教的自由の原則に根本から反するとも考えられます。

投稿: 夏井高人 | 2009年3月14日 (土曜日) 11時22分

 NHKの人形劇「空中都市OO8」で,セントラルホストコンピュータが電子機器バクテリアに冒されて、そのコンピュータ自動制御のエアカーが,一斉に制御不能となり,手動で……という筋を思い出しました(笑…笑えない)。
 もっともこのNHK人形劇シリーズを知っている世代は旧々人類の化石世代だけどorz
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A9%BA%E4%B8%AD%E9%83%BD%E5%B8%82008

投稿: キメイラ | 2009年3月13日 (金曜日) 23時58分

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