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2009年2月10日 (火曜日)

政府:青少年のインターネット利用におけるフィルタリングの普及促進及び適切な利用のための啓発活動の都道府県等への依頼

内閣府,総務省,警察庁,経済産業省などは,連名で,都道府県、教育委員会、都道府県警察及びPTA等に対するものとして,「青少年のインターネット利用におけるフィルタリングの普及促進及び適切な利用のための啓発活動の都道府県等への依頼」を発した。

 青少年のインターネット利用におけるフィルタリングの普及促進及び適切な利用のための啓発活動の都道府県等への依頼
 内閣府,内閣官房,総務省,警察庁,文部科学省,経済産業省:平成21年2月10日
 http://www.soumu.go.jp/s-news/2009/090210_4.html

フィルタリングについては従来から様々な議論がある。とりわけその有効性については疑問があるとされているし,表現の自由への萎縮効果を危惧する見解も根強い。

実は,このブログもフィルタリングの基準にひっかかっているため,健全な青少年がアクセスすることができなくなる見込みだ。

違法コンテンツは何ひとつ含まれていないのだけれど,サイバー法ブログという性質上,「アダルト」,「ポルノ」,「殺人」,「犯罪」,「麻薬」,「マフィア」,「詐欺」,「窃盗」などの用語が頻出するので,自動的にそういうことになる。

自動フィルタリングは,文脈理解の能力が全くない(少なくとも,このようなタイプの問題を解決するためのアルゴリズムを誰も見出すことができないでおり,結果的に人工知能理論全体をひどく衰退させることとなっている)のだから,当然の帰結とも言うべきだろう。そもそも「文脈」なるものは基本的に恣意的・偶然的な存在なのであって,理論的・体系的なものではない。

というわけで,諦めることにする。

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コメント

ランナーさん こんにちは。

犯罪統計というものは非常に難しくて,犯罪発生に影響を与えている因子をどう理解するかによってもかなり評価が異なってきてしまいます。性犯罪は特にそうかもしれません。

もともと人間には性欲があり,性欲がなければ生存目的の大部分がないのと同じことになってしまうかもしれないというのに,妙な観念論と建前論だけで押し通そうとすると,当然のことながら,社会にゆがみや歪みのようなものが発生することになります。さりとて,性欲を無条件で肯定してしまうと,ごく少数のオスまたはメスが多数の異性を独占するという事態が発生してしまうことが目に見えているので,これまた大きな社会不安の原因となってしまいます。

非常に難しい問題ですね。

いずれにしても,フィルタリングそのものに何の効果も認められないだけではなく弊害が多すぎることについては既に実証されてしまったと思います。今後は,更に強い措置が要求されることになるでしょうけど,ネットだけ規制しても本当に意味があるかどうかは確かに疑問ですね。

人間に性欲が存在する限り,ネットが駄目なら現実世界でどうにかしようとするのは本能が求めるものですから,抑止することができません。

そうなると,「高笑いするのは結局暴力団だけ」という結論になってしまうかもしれません。

投稿: 夏井高人 | 2009年5月 6日 (水曜日) 17時29分

(先に書いた書き込みのリンクアドレスを間違えたので以下の通り差し替え文に書き直しました。先のカキコを削除願います)

2008年2月から、青少年携帯電話フィルタリングを始めたら、
2008年下期から日本の少年による強姦犯が急増したように見えます。
http://like700.hp.infoseek.co.jp/42.html#Rape-toukei

2009年上期に、更に、この傾向が進むようなら、
日本は、性犯罪者の10倍増まで進むかもしれません。

ブロッキングにより性犯罪が増すか否か
を検証する研究が早急に求められていると思います。

間違えたら、引き返せば良いのですが、
引き返せないなら問題です。

投稿: ランナー | 2009年5月 6日 (水曜日) 15時58分

キメイラさん こんにちは。

よく判りませんが,都道府県のサイトは,除外リスト(ホワイトリスト)に入るんじゃないでしょうかね?もしそうでなかったとしたら,とんだ笑い話になってしまいますね。

ちなみに,普通にフィルタをかけると,たぶんサイバー法系と情報セキュリティ系のサイトのほとんど全部がアクセス不能となってしまうだろうと推定されるので,今後何年か経つと,その分野での専門家が全く育たないといった状況が生まれることになるでしょうね。他方で,犯罪者は,フィルタなど簡単にすり抜けてしまうでしょうから,犯罪者予備軍の未成年者だけが知識とスキルを増強するといった困った事態が発生することも考えられます。

要するに,フィルタによる方法は当然のことながら万能ではあり得ないし,また,長い目で見ると非情に大きな弊害もあるということを自覚することが大事なのではないかと思います。それゆえに,もしどうしてもフィルタをかけるというのであれば,どんなに巨額の費用がかかっても,ちゃんとしたホワイトリストのデータベースを構築し,日々正確に更新していくような仕組みが必要になるのだろうと思います。

投稿: 夏井高人 | 2009年2月12日 (木曜日) 14時53分

 都道府県警のサイトも,犯罪注意情報でブラックキーワードリスト搭載用語が掲載されるので,フィルタリングに引っかかったりしてw
 これこそ笑えないブラックジョークとなりそうです。実際は公共ドメインは除外リストに登載されるでしょうけど。

投稿: キメイラ | 2009年2月11日 (水曜日) 21時54分

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