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2009年2月 9日 (月曜日)

原審で原告勝訴の判決について被告から控訴があり,控訴審で請求減縮があった後に控訴棄却となる場合の判決主文

民事訴訟法には様々な概念が出現し,法科大学院や大学法学部の学生は日夜それらを頭に詰め込むための勉強を重ねている。判らないことについては,当然,教授に質問する。しかし,教授でも判らないことは山ほどある。教授だけではなく,裁判官でも知らないことがたくさんある。経験したことのないことについては考える機会もないから,判っているはずがない。しかし,実際にそのようば場面で判決をしなければならなくなると,現実に判決書を起案しなければならなくなるわけだから,あれこれ思案した上で判決書を起案することになる。

民事訴訟には「請求の減縮」という概念がある。観念的・抽象的には,訴え提起後の請求の一部放棄である場合と,訴え提起後の一部請求への訴え変更の場合と,単純な訴えの変更の場合と,請求の一部取下げの場合とがあり得るのではないかと考えられるが,これは,実際の訴訟の場で訴訟代理人に釈明してみないと確定できないことが多々ある。現実には,訴訟代理人が法的理論構成をちゃんと考えていない場合が全くないわけではないから,冷静に対処しないと既判力の客観的範囲との関係でかなり面倒なことが発生し得る(不明なときは,請求の一部取下げとして扱う。)。

他方,原審で請求認容の判決に対する控訴について控訴棄却の判決をすべき場合において,控訴審で請求の減縮があったのに,単純に「j控訴棄却」の判決をすると,減縮前の請求額を認容した原審判決が確定することになってしまうので,うまくない。

実は,私自身は,このような場面に遭遇したことがなかったので,理念的には理解していても,実際にはどのような判決主文とすべきかについて知らなかった。

今朝,別のことで裁判所のサイトを検索していたら,たまたまそのような主文の判決が出ているのを見つけた。

 知的財産高等裁判所平成21年01月28日判決(平成20年(ネ)第10054号特許権等侵害差止請求控訴事件,平成20年(ネ)第10071号特許権等侵害差止請求附帯控訴事件)
 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090128173751.pdf

その主文は,次のとおりだ。非常に興味深い。

*************************************

主  文

1 本件控訴及び附帯控訴をいずれも棄却する。
 当審における被控訴人(附帯控訴人)の請求の減縮により,原判決主文第1項は「控訴人(附帯被控訴人)は,別紙物件目録3記載の物件を製造し,使用し,譲渡し,貸し渡し,譲渡又は貸渡しの申出をしてはならない。」に,同第2項は「控訴人(附帯被控訴人)は,被控訴人(附帯控訴人)に対し,300万円及びこれに対する平成20年3月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。」に,それぞれ変更された。
2 訴訟費用(控訴費用,附帯控訴費用を含む。)は,第1,2審を通じてこれを5分し,その1を控訴人(附帯被控訴人)の負担とし,その余を被控訴人(附帯控訴人)の負担とする。

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