電子商取引の分野における経済成長見込み
現実世界の経済はひどく落ち込んでいるようなのだが,業界分野によって状況が異なるので,そこらへんは冷静に観察し考察する必要がある。大きな流れとしては,「これまで考えられてきたような意味での大量消費時代は終わったかもしれない」ということは言えそうだ。今後,消費者は,更に賢い選択をするようになるだろう。単純に「造れば売れる」というわけにはいかない。ネットを通じた情報流通と通販(並行輸入を含む。)が更に活発化することにより,妙に値段をつりあげる「権利商売」のようなあくどいやり方も次第に通用しなくなっていくことだろうと思う。購入しようとする商品の仕入れ原価が1円だと知っていれば,その商品に対して誰も6000円の代金を支払おうとはしないだろう。原価(製造原価,流通コスト等)に関する情報流通が今後の経済の全ての鍵を握っている。
ところで,ネット通販を含め,電子商取引の状況については,様々な見解があり,統計等で観ている限り,必ずしも悪い状況にあるとは言えない。ただし,企業によってかなりのバラつきがあるから,使いやすさや判りやすさだけではなく,個人情報の保護や情報セキュリティ確保の面も含め,どれだけまじめにネット通販の運営に取り組んできたかという積み重ねや実績のようなものが現在までの結果を左右しているのではないかと思われる。コストをかけないで安易にシステムを構築し,運営しているところでは,様々なトラブルが発生し,その解決のために驚くほど多大のコストが生じてしまっている。なにごとにつけ,無料または資金ゼロで開始することのできるビジネスなどないのだ。
ともあれ,世界全体の中で電子商取引が今後どのようになるのかは,やはり不透明だ。しかし,明るい見通しもあるようだ。下記の記事が出ていた。
U.S. e-commerce comeback seen by 2010
REUTERS: Mon Feb 2, 2009
http://www.reuters.com/article/industryNews/idUSTRE50S6AJ20090202
一般消費財については,ネット通販を通じた取引が今後増加することは間違いない。中古品については,ネットオークションでの取引が相当活発化するのではないかと見込まれる。
それに伴い,詐欺を含め様々な犯罪が発生する可能性もある。普通の市民がネット通販で商品を購入しておきながら代金を支払わないといった古典的なトラブルが現時点でも存在しているどころか,(ちゃんと勉強していない新規参入事業者などでは特に)各地で多数発生しているらしい。昔から「一見のお客さんとは取引をしない」という習慣があるのは,きっと何千年も前から同じようなことがあったからだろうと思う。初めての取引の際には,代金引換によるのがお互いのために最もトラブルが少ないのではないかと思われる。代金引換による場合には,クレジットカード番号などの個人情報がネット上で漏洩する危険性がないし,クレジットカードの使いすぎによる経済破綻もない。事業者にとっても詐欺の危険性とそれによる損失を最小限に抑えることができるだろう。
そうして,電子商取引が活発化すると,もちろんネット犯罪者が事業者のシステムを狙ってくることは間違いない。クレジット決済などにより頻繁にネット取引をしている者であれば,個人のPCも狙われる可能性が高い。それゆえ,今後,この分野での情報セキュリティの確保がますますもって重要になってくるだろう。また,そのようなネット犯罪の加害者を特定し,証拠を確保し,検挙し,処罰し,被害弁償を確実なものとするために,ISP間の連携や警察との協力なども十分に検討しなければならない時期に来ていると思われる。
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