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2009年1月20日 (火曜日)

Fantastic Voyage ミクロの決死圏

もうだいぶ昔のことになるけれども,「ミクロの決死圏」という映画があって,びっくりしながら観たものだ。所詮SF映画の世界のことなので,私が生きている間には現実化しないだろうと思っていたのだが,科学の進歩は著しく,あっという間にマイクロロボットが開発され,現実の医療の現場で応用され始めている。

 Medical 'microbot' to swim human arteries
 Yahoo (AFP): Jan 19,2009
 http://tech.yahoo.com/news/afp/20090120/tc_afp/sciencehealthrobotsurgery_20090120001713

コンピュータに巣食うボット(bot)は困り者だけれど,医療で用いられるbot(マイクロロボット)は,病気の発見,予防,治療のために大いに寄与してくれることになるだろう。

しかし,最悪のシナリオを想定してみると,何十年か後には,人々をコントロールするために赤子の時点で埋め込まれるマイクロロボットが開発され,独裁者の国では強制的に埋め込まれるような時代が来るかもしれない。

独裁者の手先になっている秘密警察や軍隊に対する抵抗は,人対人の闘いになるのでやりようもあるかもしれない。これに対し,自分の生体内に埋め込まれている敵(スパイ)との闘いは不可能に近いくらい難しいことになるかもしれない。あまり明るい未来ではない。

考えてみると,人類の20世紀は,アシモフが描いたような「ロボット」の開発をめざした時代だったかもしれない。

いま,それが実現されつつある。

では,人類の21世紀はどのような時代なのだろうか?

私の予想では「フランケンシュタイの怪物」の開発をめざす時代になるのではないかと思う。

機械装置であるマイクロロボットは,電源を必要とするし,部品が壊れると動かなくなってしまう。しかし,バイオ技術を駆使した人工生物であるバイオロボット(バイオボット)は,自己修復能力をもつことができるだろうから,いつまでも壊れないということがあり得る。

SF小説やSF映画の中では,ロボットが人間を支配している世界が描かれることがある。しかし,ロボットはあくまでも機械装置だし,自己修復能力をもたない。もちろん,ソフトウェアの部分は自己修復が可能なのだが,その媒体である装置が疲労によって壊れるとどうにもならなくなってしまう。ロボットが自己修復するためには,巨大な金属精錬プラントや化学樹脂プラントや精密部品製造プラントなどをすべて常に背中に背負っている状態でないと無理だ。だから,ロボットが人類を支配するような世界は,仮に到来したとしても,そんなに長く続かないで自己崩壊することになるだろう。したがって,機械装置であるロボットが生き続けるためには,非常に大量の人間の労働が必要となる。

しかし,バイオロボットはそうではない。自分の中に組み込まれている遺伝子によって自己修復や増殖が可能な「生き物」の一種なのだ。そして,それは,どんなに小さなものであっても,「怪物」としての素質を常に持ち得る。

ますますもっで怖い時代になりそうな予感がする。

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コメント

ハスカップさん コメントありがとうございます。

残念ながら,「ショック・ウエーブ・ライダー」という映画は観ていませんでした。今度,探してみます。

バイオ関係の兵器などが恐ろしいのは,それが攻撃用であれ防御用であれ,ヒトの生体内で何らかの栄養素を吸収してエネルギーとしているという点にあるのではないかと思っています。バイオロボットに対抗するバイオロボット(合成ウイルスを含む。)も必ずヒトの生体内の栄養素を奪うことになります。「生命体」なので,当然の帰結だろうと思います。

そうなると,バイオロボットとそれをやつけるためのバイオ防御兵器との闘いが生体内で生ずると,おろらく無限に増殖し始めることになり,結果的に,劇症の敗血症と同じような症状になって,そのヒトが死んでしまうという結果が待っているのではないかと考えられます。

では,抗生物質のような化学薬品で対処するのはどうかということ,おそらく,バイオロボットは薬品耐性が非常に強いものとして設計されることになるでしょうから,それを殺すことのできるだけの強い化学薬品をヒトの生体内に注入すると,ヒトのほうが耐えられなくなってしまい,やはり死んでしまうという結論があり得るのではないかと思います。

現実にそのようなものが開発されているのかどうかは知りませんが,バイオコンピュータの技術は存在するし,細胞合成の技術も存在するので,理論的には開発可能なものではないかと想像しています。

恐ろしいことです。

投稿: 夏井高人 | 2009年1月21日 (水曜日) 18時06分

丸山満彦さん

プライバシーの利益にしても通信の秘密にしても,国家防衛という名目があると根こそぎ反故にされてしまうのと同じように,国防や軍事の領域と関連してくると「平時の法」の適用範囲外みたいな状態になってしまい,どうにもならなくなってしまうことが多いです。

ヒトは「欲望の動物」なので,人類が二人以上存在している限り,この状態が解消されることはないのだろうと思います。そう考えると,何とも言えず空虚な気分だけが漂い,法律家なるものがいかに無力であるかを思い知らされることになります。

他方で,名誉欲や研究欲や金銭欲にとらわれた人々は,自分の研究成果がいかに人類を危険な状態に陥れるかを考えることができても意図的に無視しているように思います。しかも,現実に問題が生じても何らの責任もとらない。過去の歴史の中では,一族郎党全部まとめて火あぶりなどで処刑してしまったた時代もあったのでしょうけど,現代ではそんなことは許されませんしね。

悩みはますます深くなります・・・

投稿: 夏井高人 | 2009年1月21日 (水曜日) 17時57分

>バイオロボットはそうではない。(中略)「怪物」としての素質を常に持ち得る。
 そこで,「ミクロの決死圏」ころのSF映画「ショック・ウエーブ・ライダー」に出てくる「テープ・ワーム」(ウイルスorワームのご先祖)の復刻ですよ(笑。
 バイオロボット(バイオボット)をワーム型ウイルスに感染させてやっつけましょう。それもポリモルフィック(逐次変異)を発生させるステルス型でワクチンを切り切り舞いさせる奴を。

投稿: ハスカップ | 2009年1月20日 (火曜日) 23時05分

最新技術というのは、利権を握った一部の人々が軍をつかって多額の予算をかけて成長してきたという歴史を考えてみると、「フランケンシュタイの怪物」というのは非常に可能性が高く、心配しているところであります。

介助者を補助するためのロボットや、メイド型ロボットといっても使い方ひとつで殺人兵器に化けるわけで、そのあたりのコントロールをどのようにすべきか。。。技術倫理の問題としても、もっと深く議論を進めていかなければいけないと思っています。。。

投稿: 丸山満彦 | 2009年1月20日 (火曜日) 19時35分

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