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2009年1月16日 (金曜日)

e-Discovery の経済的影響

米国とオーストラリアではe-Discoveryが既に導入されている。その結果,例えば,企業には,将来証拠となるべき電子書類を偽造・変造不可能な状態にして保存する義務が生ずることなった。このことは,企業経営上での新たなコストの発生を意味する。関連するソフトやサービスを販売している企業にとっては稼ぎのチャンス到来ということになるのだろうが,取扱い商品がちょっとしかないのに大型トラックを購入するような愚は避けたいものだ。

 Wall Street crisis brings lax e-discovery law enforcement to light
 Computer World: January 14, 2009
 http://www.computerworld.com/action/article.do?command=viewArticleBasic&taxonomyName=disaster_recovery&articleId=9125962&taxonomyId=151

親しい友人(米国弁護士)によると,e-Discoveryに関する米国連邦証拠規則は,それを文字として読むだけだとそんなに難しくはないけれども,実際に顧問会社で導入しようとすると,ひどいコストが発生し,しかも,関連ソフトが非常に使い難く,場合によっては企業経営者の意思決定の速度にも悪影響を与えることがあるそうだ。

電子証拠の取調べ手続を厳格にすれば,結局,そういうことになるのだが,逆に簡単にしてしまうと,偽造や変造が横行することとなり,電子書面の証拠としての信憑性が失われてしまうことにもなる。だから,その間のバランスをどうとるかが最大の課題となる。

おそらく,数年後には,厳格すぎる手続に対する批判と反省から,証拠規則の見直しが行われることになるだろうと予測する。安易かつ無批判に乗っかるのではなく,慎重に動向観察を続けたほうがよさそうだ。

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コメント

丸山 様

夏井です。

おっしゃるとおりだろうと思います。

これまた友人(米国人)から聴いた「受け売り」なので恐縮なんですが,慎重な企業経営者は,最も肝心な書類や帳票類については絶対に電子化しないそうです。証拠としての意味もありますが,やはり唯一無二の物理的存在としての「紙の書類」の重要性を否定することができないということらしいです。紙の書類であれば,電子認証は必要ないし,e-Discoveryとも無関係ですね。

日本に限らず,IT関係の企業の宣伝広告では,すべてノンペーパー化することのメリットは(場合によっては誇大に)広告されますが,そのデメリットについては「知らん振り」をしていることが少なくないように思います。困ったものです・・・

投稿: 夏井高人 | 2009年1月19日 (月曜日) 09時17分

デジタル情報は紙情報と異なりたとえばハッシュ値等の単一情報で変更されていないことを証明しようとするところに難しさがあるように思います。デジタル信仰からデジタルの良さ、アナログの良さをもう少し冷静に分析してアナログからデジタルではなく、アナログとデジタルのすみ分けというのもいいのではないでしょうかね。。。

投稿: 丸山満彦 | 2009年1月18日 (日曜日) 23時14分

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