ストリートビューにおける日米差
ストリートビューについては,様々な問題がある。私は,プライバシー,肖像権,著作権などの問題ほか,防犯・防衛上の問題もあることを指摘してきた。ここにきて,人種差別問題のようなものもあることが判明した。
つまり,米国では撮影されていないような私的環境の濃厚な地域が日本ではどんどん勝手に撮影されてしまっているという問題だ。このことについては,下記の記事を読んで認識することができた。高木浩光さんの実証的検証態度には頭が下がる。
米国ではストリートビュー撮影されない住宅街の道
高木浩光@自宅の日記: 2008年12月28日
http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20081228.html
もしGoogleが,米国人であれば保護されなければならないが,日本人では無視してもかまわないと思ってこのようなことをしているのだとすれば,それは明らかな人種差別にあたるだろう。
もしGoogleが,意図的にそのようなことをしているのではないとしても,現実にそのような結果が発生してしまっていることは事実なのだから,過失によって人種差別をしているという批判を免れることはできないだろう。少なくとも従業員に対する監督がぜんぜんできていないのかもしれないということを容易に推測することができる。
ストリートビューにはあまりにも問題が多すぎる。
たしかに,ストリートビューを歓迎する「おばか」なネットユーザが大勢いることも事実だ。
しかし,自分が他人を観ることは許容されるべきだが,他人が自分を観ることは許さないといったような片面的な態度は許されない。
| 固定リンク

コメント
koneko04さん コメントありがとうございます。
public recordの公開については,米国でもいろんな見解があり,公開禁止になっているサイトもあるはずなんですが,トラブルはなくなっていないようですね。
日本だと住民基本台帳データがそれに該当すると思います。
この問題は,単純にプライバシー論だけで片付けることができない問題です。法学だと憲法論なのでしょうけど,本質的には政治学上の問題ともいうべきもので,そもそも「国家」の本質をどのように考えるかによって,その「こたえ」も異なるものとなることでしょう。簡単ではないです。
ただ,はっきりしていることは,公開された情報であったとしても,その悪用や濫用などによって誰かに何らかの被害が発生した場合には,加害者に対して損害賠償を求める権利を認めるための法理論が必要だということと,(場合によっては)何らかの方法で処罰可能なようにしておかなければならないということです。ここらへんの問題は,法律学の範囲内に入りますね。
サイバー法は,実際には法学と政治学とにまたがった領域を対象にしており,かつ,その場を構成している電子技術に精通していないと全く歯が立たないという面があるので,しんどいです。けれども,それゆえにやりがいのある領域ではないかと思っています。
今後,ストリートビューだけではなく,本当に様々な方法で個人が「個」であるための最も重要な部分の大半が剥ぎ取られてしまうだろうと予測しています。
政府や企業にとっては,それは好ましいことかもしれません。
しかし,個人が「個」であることを完全に奪われてしまうと,おそらくストレスに耐えられなくなってしまって凶暴化する可能性があり,結局,社会全体を不安定にしてしまう可能性があります。
日本だけではなく世界中どこでもオモテとウラがあり,本音と建前とがあります。公と私との関係も似ているかもしれない。そのバランスが大事なんですよ。
そして,そのバランスが著しく崩れてしまったと感ずる人が多い場合には問題(issue)として認識されるに至ることになります。
結局,その繰り返しのようなものかもしれません。
これからもサイバー法の話題がなくなることはなさそうですね。(笑)
今後ともよろしく御願いします。
投稿: 夏井高人 | 2008年12月31日 (水曜日) 13時41分
夏井先生、お久しぶりです♪
ストリートビューですが、アタシの住所を入れたら、家の前に停めてた車のライセンスプレートがはっきりとわかる状態がしばらく続きました。
文句を言おうかなと思っているうちに、モザイクみたいなのが入りわからなくなっていました。それだけではなく、それまでは360度近所の様子を見ることが出来たのに、今はそれはできなくなっているようです。
高木さんのブログにあるアメリカの各都市の様子を見ていても、肝心な所は見えないように処理がされているのかもしれません。
個人的にはグーグルのストリートビューよりも、住所を入れると、家の資産価値が航空写真付きで出るサイトや、個人の名前を検索すると、離婚歴とか生年月日など、public recordsとされているものがヒットされる方が嫌ですね。
投稿: koneko04 | 2008年12月31日 (水曜日) 13時20分