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2008年12月 3日 (水曜日)

大学でのクラウドコンピューティングの利用

クラウドコンピューティングは,ビジネスの場面だけではなく大学等の非営利の世界でもその勢力を拡張しつつあるようだ。

 九州大学にクラウド現れる
 @IT: 2008年12月2日
 http://www.atmarkit.co.jp/news/200812/02/ibm_cloud.html

それをクラウドコンピューティングと呼ぶべきかどうかは別問題だが,例えばWebメールサービスの利用,大学内での授業履修処理等をホスト側のアプリケーションだけで処理し,クライアント側にはブラウザしか存在していないといったようなサービス提供形態は,どの大学でも極めてありふれたものとなってきている。このようなサービスに加え,MicrosoftのOfficeのブラウザベースでのサービスをホストが提供するだけで,見た目には立派にクラウドコンピューティングということなるかもしれない。

ところで,どの大学でも資金不足が深刻になりつつあるし,あまりにも馬鹿げた株式投資その他の証券投資によって巨額の損失を計上してしまった大学等では倒産が非常に現実的なものとなってきているかもしれないので,「経費を切り詰めろ」という圧力が今後ますます高まるだろうと予測される。

そのようなところは,何も考えないでクラウドコンピューティングに飛びついてしまうかもしれない。

しかし,大学は教育と研究の場だ。クラウドコンピューティングを導入する前に,予めよく考えておかなければならないことがいくつもある。例えば,次のような事項をその例としてあげることができる。

1:トラフィック

毎年,就職活動の時期になると,学生が就職活動のために,インターネット検索,面接等の登録,電子メールの送受信を始める。しかも,かなり大量にだ。その結果,トラフィック上の問題が発生し,講義でインターネットに接続しようとしてもタイムアウトになってしまうことさえ発生してしまう。このようなトラフィックの問題に加え,ブラウザベースでのアプリケーション利用のためのパケット送受信が重くのしかかってしまうと,大概のシステムでは耐え切れなくなってしまってシステムダウンしてしまう危険性がある。このような問題を解消するには,相当巨額の資金を投入して,トラフィックの問題が生じないように通信回線の物理層を強化するための大規模なインフラ再編成を断行し,かつ,これまた巨額の経費(固定費)を予算化した上で,民間プロバイダ等と契約して相当大きな規模での公衆回線利用を可能とするような措置を講ずるしかない。

2:著作権の帰属

ブラウザベースで作成されたコンテンツの著作権が誰に帰属するのかを予めしっかり決めておかないと,大学の教員や学生が自分の著作物だと信じているコンテンツについて,いつの間にか大学(法人)が著作権を取得してしまっていることがある。私の場合,この点について相当大きな危惧感を抱いてしまったので,大学のサーバの利用をやめ,ISPからディスクを借りて,そこにコンテンツをアップロードし公開するというやり方に変えざるを得なくなってしまった。もし私と同じような教員が増えることになると,結局,教員の側での金銭的負担を増やしてしまう一方で,大学のサーバにあるコンテンツはどんどんやせ細ってしまうことになる。これでは,本末転倒ではないだろうか?

3:空洞化

ホストが停電,地震,輻輳その他の原因でシステムダウンした場合,教員や学生は何もできなくなってしまう。とりわけ,書きかけの論文やレポート等のファイルがすべてホスト側にあり,クライアント側には存在しないという場合,プリントアウトして手書きで校正をすることさえできなくなってしまう。ちなみに,このような構成のシステムではプリンタもネットワークプリンタとして管理することになることが多いので,スタンドアロンのプリンタとして使用すると望むならば多少の破壊工作をしないといけないような状態になってしまっていることがある。

などなど・・・

かなり怖い世界ではある。

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