昨日の学会
昨日は,明治大学で開催された法とコンピュータ学会に参加し,私自身も研究発表をした。
午前の部では特許庁の菅野氏による特許出願申請動向などに関する解説がすばらしく,先端技術に関連する投資動向まで透けて見えて,とても勉強になった。
また,カナダのKonrad氏による講演は,これまで日本ではあまり論じられてこなかった重要な論点について,非常に多くの示唆に富む貴重な講演だった。特許法の世界では,日・米・欧の3極が協調しながら世界をリードしてきたと言えるだろう。しかし,私のこれまでの研究結果によれば,バイオ分野の特許に関しては,カナダ,中国,韓国からの特許出願がめざましく,その動向から目を離すことができない。しかも,法制の相違がある。米国の特許制度とカナダの特許制度にも大きな相違点がある。そのため,米国では特許化可能な技術がカナダや欧州では特許化できないことがある。一見すると,カナダや欧州の法制度のほうが不利のように見えてしまう。そこで,その点について,Konrad氏に質問をしてみた。すると,「巧妙な特許申請テクニックがある」というのがその回答だった。その内容を説明されてみると「なるほど~~」と感心するしかない。勉強になった。
休憩時間に,某氏から,私の研究報告について,「コンピュータと何らかの関係があれば法とコンピュータ学会のテーマにできるというのであれば,何でもそうなってしまうのではないか」という質問があった。そのように感じさせてしまったことについては私の責任もあるかもしれない。しかし,この学会でバイオ技術関係をテーマにして学会を開催したことは過去にもある。昨年のテーマはIT業界における労働問題であり,コンピュータそのものではなかった。世界の「コンピュータ法 Computer Law」に関する書籍を読んでみると,その守備範囲は随分と広いものとなっていることが多い。そして,私の報告タイトルは,まさにこれから将来10年くらいの間,法とコンピュータに関連するテーマの中でも非常に重要なものとなるものだと確信している。そのことが広く認識・理解されるまでには,まだ何年かかかるだろう。最先端の研究テーマを普通の人に理解させることは,非常に難しいことだ。ただし,一般に認識・理解してもらえるころには,私は,きっと全く別のテーマの研究に没頭していることだろう。常に学問上のパイオニアでいたい。
午後の部は「電子マネー」がテーマだった。
開催校の理事であるため,諸々の雑用があり,ときどき会場から抜けざるを得ない状況にあったけれども,だいたい全ての研究報告とパネルディスカッションを聴くことができた。
その中で一番印象の残ったのは金融庁の高橋氏と学習院大学の野村教授の報告だった。現在政府で検討が進められている法改正の話題を含め,勉強になることが多かった。
全体として,良い研究会だったのではないかと思う。
さて,このようにして,研究会後の懇親会を含めどうにか無事に学会の開催を終えることができた。
ほっと一安心というところだ。
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