電子メールに関する特許事件判決(平成19年(行ケ)第10433号審決取消請求事件)
対話的なコマンド操作により電話機等で電子メールの送信ができるシステムの発明に関する特許申請について拒絶査定がなされたため,その発明上の権利を譲り受けた原告から提起されていた訴えについて,知的財産高等裁判所は,原告の請求を棄却する判決をした。
その概容は次のとおりだが,要するに,それまでに存在していた周知技術等の組み合わせによって容易に考え付くことのできる発明に過ぎないという判断がなされたことになる。
(事案の概容)
Aは,特許申請した「電子メール送信システム,意志確認方法及びシステム並びに意志収集方法及びシステム」なる発明について特許申請をしたが,特許庁は,平成16年6月18日付けで拒絶査定をした。
Aは,これを不服として,特許庁に対し,不服審判請求をした。特許庁は,平成19年(2007年)11月2日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をした。
原告は,平成19年(2007年)12月26日,Aから上記発明に係る特許を受ける権利を譲り受けた。
原告は,その後,知的財産高等裁判所に対し,特許庁を被告として,「特許庁が不服2004-15877号事件について平成19年11月2日にした審決を取り消す」との判決を求め,訴えを提起した(平成19年(行ケ)第10433号審決取消請求事件)。
(判決)
知的財産高等裁判所は,平成20年(2008年)11月17日,原告の請求を棄却する旨の判決をした。
知的財産高等裁判所平成20年11月17日判決
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081118140207.pdf
(本件発明にかかる特許請求項)
【請求項1】
ネットワークを経由して相手方の情報端末に電子メールを送る電子メール送信システムであって,送信する電子メールのデータを記憶した記憶手段と,記憶手段にデータが記憶された電子メールを所定のプロトコルに従って相手方に送信する送信手段とを備えており,前記記憶手段が記憶している電子メールのデータは,特定の質問内容と,その質問内容に対する回答内容とが相手方の情報端末に表示されるようにするものであって,相手方の情報端末において所定の操作がされた際にその回答内容を前記ネットワーク上の所定の場所にある回答先のコンピュータに送信するコマンド文を含んでおり,このコマンド文は,相手方の情報端末において前記回答先のコンピュータの場所の入力をすること無しに前記回答内容を送信するものであって,前記回答内容を処理するプログラムを実行するものであることを特徴とする電子メール送信システム。
(争点)
本願発明の作用効果が,周知技術等から当業者が予測できる範囲のものであるかどうか
(争点に関する裁判所の判断)
原告は,本願発明の作用効果が,刊行物1発明及び周知技術1,2から当業者が予測できる範囲のものであるとした審決の判断が誤りであると主張するが,前記1ないし3に説示したとおり,本願発明は刊行物1発明に周知技術1,2を適用して当業者が容易に想到し得るものであり,相違点1,2はいずれも周知技術であるから,刊行物1発明に周知技術を適用したときの作用効果も当業者が予測し得る範囲のものというべきである。
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