写真の無断借用
写真の著作権を法哲学的という観点からどのように考えるべきかについては,意外と難しい問題を含んでいるかもしれない。しかし,日本国の著作権法上では創作性のある写真であれば著作物として保護されることになっている。
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著作権法(抜粋)
第2条(定義)
1 この法律において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであって文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
二 著作者 著作物を創作する者をいう。
(三号~十四号 略)
十五 複製 印刷,写真,複写,録音,録画その他の方法により有形的に再製することをいい,次に掲げるものについては,それぞれ次に掲げる行為を含むものとする。
イ 脚本その他これに類する演劇用の著作物 当該著作物の上演,放送又は有線放送を録音し,又は録画すること。
ロ 建築の著作物 建築に関する図面に従つて建築物を完成すること。
(十六号~二十三号 略)
2 この法律にいう「美術の著作物」には,美術工芸品を含むものとする。
3 この法律にいう「映画の著作物」には,映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され,かつ,物に固定されている著作物を含むものとする。
4 この法律にいう「写真の著作物」には、写真の製作方法に類似する方法を用いて表現される著作物を含むものとする。
(4項~9項 略)
第4条(著作物の公表)
(1項~3項 略)
4 美術の著作物又は写真の著作物は,第45条第1項に規定する者によって同項の展示が行われた場合には,公表されたものとみなす。
(5項 略)
第10条(著作物の例示)
1 この法律にいう著作物を例示すると,おおむね次のとおりである。
一 小説,脚本,論文,講演その他の言語の著作物
二 音楽の著作物
三 舞踊又は無言劇の著作物
四 絵画,版画,彫刻その他の美術の著作物
五 建築の著作物
六 地図又は学術的な性質を有する図面,図表,模型その他の図形の著作物
七 映画の著作物
八 写真の著作物
九 プログラムの著作物
第25条(展示権)
著作者は,その美術の著作物又はまだ発行されていない写真の著作物をこれらの原作品により公に展示する権利を専有する。
第45条(美術の著作物等の原作品の所有者による展示)
1 美術の著作物若しくは写真の著作物の原作品の所有者又はその同意を得た者は,これらの著作物をその原作品により公に展示することができる。
2 前項の規定は,美術の著作物の原作品を街路,公園その他一般公衆に開放されている屋外の場所又は建造物の外壁その他一般公衆の見やすい屋外の場所に恒常的に設置する場合には,適用しない。
第47条(美術の著作物等の展示に伴う複製)
美術の著作物又は写真の著作物の原作品により,第25条に規定する権利を害することなく,これらの著作物を公に展示する者は,観覧者のためにこれらの著作物の解説又は紹介をすることを目的とする小冊子にこれらの著作物を掲載することができる。
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このように,著作物である写真は著作権法によって保護されているので,その無断借用は,当然のことながら,著作権侵害行為となる。
そのような事例は,実際にはかなり多数存在するのではないかと想像している。しかし,現実に著作権法違反として犯罪捜査が開始される例はそんなに多いとは言えないかもしれない。
ネット上のニュースを見ていたら,下記の記事を見つけた。
営利企業による著作権侵害事件として,写真の著作物の無断使用(権利者から許諾を得ないでなされた複製行為)が現実に問題とされた事例だ。
著作権法違反容疑:写真の無断使用で「読売旅行」を捜索
毎日jp: 2008年11月26日
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20081126k0000e040082000c.html
[追記:2009年12月17日]
関連記事を追加する。
読売旅行が写真無断掲載 社長らを書類送検
Nikkei Net: 2009.12.16
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20091216AT1G1601116122009.html
読売旅行を書類送検 写真をパンフレットなどに無断使用 警視庁
産経ニュース: 2009.12.16
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/091216/crm0912161148007-n1.htm
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