ネットワーク流通と著作権制度協議会の設立
日本の著作権法と米国の著作権法は,その基本的な構造において異なっている部分がいくつかあるが,その中でも比較的有名なものの一つとして「フェアユース(fair use)の抗弁」がある。
「フェアユース」は,日本国の法制には存在しないものであり,強いて言えば,著作権法の第五款(著作権の制限)に含まれる条項の解釈や権利の濫用の有無の解釈の中などでフェアユースのような考え方が持ち込まれることがある程度ではなかったかと思う。
確かに,日本国の著作権法にもフェアユースに関する条項を導入すべきだという考え方は古くからあった。しかし,どういうわけか強い抵抗があり,実現するのは不可能または絶望的だと思われ続けてきた。
ところが,最近になって少し異なる動きが出てきたようだ。
弁護士らが「ネットワーク流通と著作権制度協議会」設立
Internet Watch: 2008/11/25
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/11/25/21621.html
著作権法の改正を含め,今後どのようになっていくのかについては,不透明な部分が多い。関連する事業者が多数あり,その利害関係の調整も必要になるだろう。法理論の優劣だけで結論を決めたりすることが非常に難しく,なかなか面倒な世界であることは否定できない。
それにしても,この協議会とは全く無関係のことだが,以前は「フェアユースに断固として反対」の態度をとっておりながら,ちょっと風向きが変わったとたんに「最初からフェアユースに賛成していた」と平気で述べる法律家がいないわけではない。唖然としてしまう。そのような人の過去の論文や書籍や雑誌等に何か書いてあるかを検索してみれば,その言動が明らかに嘘だということがすぐにばれてしまうというのに,「恥ずかしい」という感性を持ち合わせていないのだろうか?
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