« サイバーパトロール | トップページ | サイバー犯罪による損失は金融危機による損失に匹敵するまでになっている? »

2008年11月28日 (金曜日)

Megan Meier事件で陪審員が有罪の評決をしたことについての議論

ネット上で男児を装ってSNSサイトにアクセスし,それを実在の男児だと信じていた当時13歳の女児であるMegan Meierが,突然,「The world would be a better place without you (君がいないほうが,世界はベターなところになるとおもうよ)」という文言を含むメッセージを受信したことにショックを受けて,その後間もなく自殺してしまったという事件が米国であった。

この事件の真相は,死亡したMegan Meierの近所に住む47歳の女性が,男児になりすましてSNSにアクセスし,Megan Meierをからかった楽しんでいたのだということが後に判明し,米国法に定める無権限アクセスの罪(日本国では不正アクセス罪に相当する罪)で起訴されていた。

この事件は,全米で有名になり,新聞やテレビなどで広く報道されただけではなく,ネット上でも「ネット上の人格とは何か?」,「ネット上の人格を偽ることは無権限アクセスになるのか?」等といった議論が沸いていた。

これらの議論は法律論というよりは文化論に近いものが多く含まれているように思われるが,法律論としても重要だと思われるものが幾つかある。その中の一つは,「年齢制限のある限定されたSNSサイトに年齢を偽ってアクセスした場合,無権限アクセスになるのか?」という論点だ。

日本国の不正アクセス法の解釈に関する限り,その答えは「No」になるだろう。アクセスのための年齢制限違反という契約条項違反だけでは,不正アクセス罪にならない。

そこで,米国ではどのような判決になるのかと思って,ずっと注意深くこの事件をウォッチングしてきた。

そして,米国時間で11月26日に,陪審員は,この事件について「有罪」の評決をしたようだ。

 Guilty Verdict in Cyberbullying Case Provokes Many Questions Over Online Identity
 New York Times: November 27, 2008
 http://www.nytimes.com/2008/11/28/us/28internet.html

 Verdict in MySpace Suicide Case
 New York Times: November 26, 2008
 http://www.nytimes.com/2008/11/27/us/27myspace.html

なかなか難しい問題だ。

もし日本国で同じような事件が発生したとした場合,民法の不法行為に基づく損害賠償責任が生ずることについては,ほぼ異論がないだろうと思う。しかし,それ以上に刑事責任となると,事案によっては名誉毀損罪や侮辱罪等の成否が検討対象となり得るとしても,基本的にはかなり難しいのではないかと思う。


[追記:2009年7月7日]

関連記事を追加する。

 Dismissal of MySpace Case 'Proper,' Defendant Says
 Washington Post: July 4, 2009
 http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/07/03/AR2009070302467.html

|

« サイバーパトロール | トップページ | サイバー犯罪による損失は金融危機による損失に匹敵するまでになっている? »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: Megan Meier事件で陪審員が有罪の評決をしたことについての議論:

« サイバーパトロール | トップページ | サイバー犯罪による損失は金融危機による損失に匹敵するまでになっている? »