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2008年11月23日 (日曜日)

インドのe-Court計画

サイバーコートまたはe-コートの研究,実験,導入が世界各国で試みられてきた。

世界的にはシンガポールのサイバーコードが実働システムとして最も有名なのものなのではないかと思う。

そのような世界的な動きの中で,インドにおいても着々とe-Courtの実現に向けた動きが進められているようだ。

 The e-Courts revolution
 Express Computer: 24 November 2008
 http://www.expresscomputeronline.com/20081124/itingovernance05.shtml

他方,日本では,最高裁や法務省が非常に保守的であるため,サイバーコートが実現する可能性は著しく低い。

ところで,最近の報道によれば,裁判員は,3人の職業裁判官の左右に並んで着席し(=刑事被告人と対面し,やや見下ろすようにして高い席に着席し),刑事裁判に臨むことになっているそうだ。これは明らかに「悪」だ。

このようにして裁判員が着席すると,当然のことながら,裁判員と刑事被告人とが長時間にわたり向かい合って法廷内に在廷することになる。その結果,次のような弊害が発生する危険性が極めて高い。

1:刑事被告人が裁判員の顔などをしっかりと覚えてしまうため,後日,報復や仕返しをされる可能性が高まる。職業裁判官は税金によって保護されるかもしれないが,一般国民は全然保護されないので,かなり深刻なリスクが発生することになる。

2:3人の職業裁判官+多数の裁判員(+補充裁判員)が被告人を見下ろす位置に並んで着席することになり,刑事被告人に対し,異常に高い精神的プレッシャーを加えてしまうことになる。世界的にみてもそのような配置で刑事被告人を威圧するような裁判所の例はほとんどない(←例外的として,軍法会議や軍事法廷等はそのような配置になっている場合がある。それは,裁判というよりも査問という性質が強いことがあるからだろうと思われる。)。

どちらにしても,公平かつ公正に審理がなされるべき刑事法廷における訴訟関係人の配置として愚劣の極みと評価するしかない。刑事訴訟法や憲法を専攻する法学者や弁護士等がなぜそのことを批判しようとしないのか,全く理解できない。

おそらく,刑事被告人の顔を裁判員が直視しないと正しい意見を形成できないといった超観念論的・概念法学的・ドグマ的・権威主義的・封建的な考え方が支配的だったためにそういうことになってしまったのだろうと想像する。想像なので,間違っているかもしれない。

しかし,裁判員を報復から守るのは国の義務だ。また,法廷では刑事被告人が「威圧されている」と感じるようになっていてはならない。下手をすると裁判所のシステムそれ自体が冤罪を生み出す最も大きな要因となってしまいかねない。

そこで,電子的な道具を用い,裁判員が刑事被告人と直接対面しなくても法廷に在廷しているのと同じように審理に加わるようなシステムを導入することが考えられる。ここでサイバーコートに関して従来研究されてきた成果等が大いに役立つはずだった。しかし,現実にはそうなりそうにない。

恐ろしいことだと思う。

私は,最高裁が現在のような愚劣きわまりないプランのままで裁判員制度の実施を押し通そうとするのである限り,その根本から反対したい。

直ちに中止または廃止すべきだろう。

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